──────
────…
桜の木が芽をふくらませはじめた三月。
わたしたちは三年間過ごしてきたこの高校を卒業する日を迎えた。
彼がいなくなってからもう二ヶ月が経ったのかと思うと時間の流れは悲しみを置いてけぼりにして進んでしまうのだと感じる。
クラスのみんなには要くんからのお願いで本当のことは言わずに転校してしまったということにしてある。
要くんはみんなの中から“須藤要”という一人の人間を消すために突き放すために冷たく当たっていた。
それを彼らは理解してくれて、悲しんでいて、わたしも含めたクラスの希望として要くんの分の椅子も出してもらうことになった。
もちろん、そこには誰も座ることはなく空いたままの席。
それでも、わたしは改めて君が人気者でみんなから好かれていたのだと思ったよ。
そして、今日わたしには大切なことが残っている。
それはというと……
「答辞、卒業生代表、越智純恋」
「はい…!」
学年代表として答辞をさせてもらうことになった。
大きな声で返事をして胸を張ってマイクの前まで歩いていく。
大丈夫、だって君が空の上から見守ってくれているんだから。
わたし、こんな大役を任せてもらえるぐらいになったんだよ。



