「えっ……」
ウソ……どうして………?
わたしは今自分の視界に映る目の前の光景を疑った。
信じたくなくて何度も何度も自分の目を擦って…でも、それはどうやら現実らしく目の前の光景は一切変わらない。
わたしの目の前に広がっていたのは、
────…誰もいないただの病室だった。
昨日まではあった要くんの所持品も要くんの姿すらなくなっていた。
もっというなら、ずっと敷かれっぱなしだったベッドの布団が綺麗に折り畳まれていた。
それはとても信じがたい光景だった。
全身から血の気が引いていき、その場から動くことができず、体が一瞬にしてこわばる。
どうして、要くんはいないの?
あれ?トイレかな?
それとも、わたしが入る部屋を間違えちゃったかな?
「純恋ちゃん……」
後ろから声がして振り向くと、そこには坂田くんが深刻そうな表情を浮かべて立っていた。
その深刻そうな表情からはだいたいことは読み取れた。
だって、坂田くんの目が赤く腫れているんだもん。
嫌でも分かっちゃうよ。