【純恋side】



君と会えなくなってから数週間後
季節は一月中旬に差し掛かり、入試まで残りわずかとなってきた。


あれから家に帰ってインターネットで要くんの病気について色々と調べた。


“心臓移植”など方法はあるものの、どれも確実ではなく生存確率も少ないらしい。
改めて、彼がどれだけ重く深い苦しみを抱えていたのかが分かった。


そして、わたしは彼の手術費を集めるために募金活動をしようと考えたのだ。


それを実行するためにいつもなら座って窓の外を見ているだけの授業中も必死に手を動かした。


ついに夢を叶えることを許してもらえたわたしはこれまで以上に勉強に取り組んだ。


そして、授業が終わり、わたしは荒々しくスクールカバンを肩にかけて急いである場所へ向かって全力で足を前に進めた。



「はぁはぁ…」



息を切らしながらも無我夢中で走った。
どうしても、ここに来なきゃいけなかった。


会いに来るな、と言われても君の許可が必要でしょ?
『手術しない』というのならわたしが説得する。

どうしても君の命を繋ぎ止めたいから。



「要くん…っ!!」



走って辿り着いた先は要くんの病室。
名前を呼びながら勢いよく扉を開けた先でわたしが見た景色に戸惑いが隠せなかった。