『またね…!』
さっきの純恋の言葉を頭の中でそっと思い出す。
きっと、涙で頬を濡らしながら俺の大好きな笑顔を浮かべて彼女はそう言ったんだろう。
『また』なんてもうないのに。
それを頭のいい彼女なら分かっているはずなのにそんなことを言ったのはきっと彼女なりの俺に対しての優しさなんだろうな。
そんな優しさが俺の胸を苦しいほど締め付けるのにジーンと胸を熱くもする。
彼女の前にはいくつもの壁が立ちはだかっていて
挫けそうになった時だってあった。
それでも、最後はしゃん、と胸を張って立ちがあがり、夢に向かって頑張る純恋を見ているといつの間にか俺の中で生きる希望が生まれていたんだ。
将来の夢だって、小さいしありふれてはいるけどちゃんとある。
俺は父さんと母さんがすごく愛し合って幸せそうだったのを未だに覚えている。
だから…俺もいつかそんなふうになりたいとずっと思っていた。



