点滴を繋がれているからベッドの上から星空を眺めている事しか出来ないけど、それだけでジワリジワリと胸の中に何かが湧き上がってくる。
きっと、これは後悔の感情だ。
俺は……これでよかったんだよな?
全ては純恋の幸せのために、迷惑になるであろう好きな気持ちも揉みくしゃにかき消して、悪人になるしかなかった。
───『要くんの将来の夢は何?』
そう聞かれた時、ほんとは答えようか迷った。
『俺には将来なんて希望に溢れた世界はない』と。
あのときには俺の運命はもうほぼ決まっていたようなもんだ。
でも、そんなこと言ったら君はその綺麗な瞳に涙を溜めて悲しそうに眉を下げて、数秒後にはその涙が頬を伝っているだろう。
俺は純恋の涙が見たいわけじゃない。
最後の最後まで、君が笑っている姿が見たかった。
俺に向かって、『また明日ね』って手を振る君を。
明日、なんてあるかも分からない俺に何も知らない君はそういうんだ。
でも、それが不思議と嬉しかった。
明日も君に会って、生きていると実感できると。
言いたいことが何一つ言えず、我慢して苦しんでいた君を俺はちゃんと救えた?
『好き』
そう言ってもらえた時、本当はたまらなく嬉しくて彼女を抱きしめたい衝動に駆られたけどそれを行動に移すことはできなかった。
もう、俺のことは忘れればいい。
他の男に……幸せにしてもらえばいいんだ。
アイツを幸せにできるのは少なくとも俺じゃないということが痛いほどに分かっているから。



