【要side】
まるで世界には俺しかいないんじゃないかってぐらいの孤独を感じさせる部屋の窓から見える景色は
あの日純恋と一緒に二人肩を並べ、寄り添いあって将来を語り合いながら見上げた満天の星空のようにどの星たちもキラキラと輝きを放ち、光のない暗闇を明るく飾っていた。
そんな中、ぼんやりと頭の中で俺の人生を変えた日のことを思い出していた。
*
『須藤さん。よく聞いてください』
憧れの高校生になり、いつ原付きバイクの免許を取ろうだ、とかバイトはファーストフード屋さんにしようにしようかな、なんて
色んな楽しみを膨らませていた高一の夏のある日、運動しているとすぐに息切れをしたり、わけもわからずに胸に苦しさを覚えたりと不信感を感じ始めた俺は姉ちゃんと一緒に病院へ行った。
ただの風邪だろう、なんて軽い考えでいたのに色んな検査をした後に診察室に呼ばれ、俺の前に座る医者の顔に笑みなんて微塵もなくて、
あるのは深刻そうな表情と手に持った検査結果が書いてあるのであろう紙が何枚かのみ。
バカな俺でも何となく、そのただ事ではない様子に気づいていたけど、気づかないフリをしていた。
気づきたくなかった、医者の口から出る言葉はいい言葉じゃないことぐらいは予想できていたから。
そんな俺の気持ちを他所に医者はゆっくりと、口を開いた。