ばっちり、と絡み合った視線。
久しぶりに絡み合った視線に脈打つのが早くなっていくのが分かる。
タイミングが悪いにも程があるよ…。
「なんで、お前…」
要くんはビックリしてわたしを見るなり、潤んだ目を大きく見開いていた。
逃げるなら今のうちだ……
落ちたスマホを素早く拾い上げて、わたしは要くんから逃げるように空いている病室へと入って扉を閉めて、そのまま扉の前にズルズル、ともたれ掛かり、しゃがみこんだ。
胸元を飾っていた制服の赤いリボンはずっと、ギュウウ…っと握りしめていたせいでグシャグシャになり本来の綺麗な形を失っていた。
それでも、幾度となく溢れ出し頬を伝う涙を止めるすべすら、今のわたしにはもう分からなくて
ただ、わたしの涙が床にポタポタとこぼれ落ち、小さな水たまりを作る。
「純恋……」
扉の向こうから病気のせいなのか掠れた要くんの声が聞こえてきた。
それだけでまた泣けてきた。
どうして、君はわたしを追いかけてきたの?



