「いつまで意地張ってんだよ…!」



少しだけ声を荒らげた坂田くんは多分いつもの冷静さを失っているように思える。



「意地なんか……張ってねぇよ」



ぼそっ、とどこかやるせなさそうに言ったその声に何故か胸がギュッと締め付けられて苦しくなる。



「じゃあなんで…」


「アイツに言ってどうにかなるわけじゃねぇだろ」



ひどく湿度のない声で彼は吐き捨てた。
でも、そんな声にはどこかやるせなさが込められているような気がした。


そんなの自分でも分かってたよ。
わたしはお医者さんでもなければ、超能力者でもない。
でも、一人の人間として頼ってほしかった。


辛いときはそばにいてあげたかった。
それすら、君は求めないで一人でずっと苦しんでた。


君がわたしを強く優しく支えてくれたように
わたしも君の力になりたかったんだよ。



「いい加減、本音を言えよ。

俺にウソなんかついてもバレバレなんだよ…っ!」


「俺が……アイツに気持ち伝えても
アイツは辛い思いしかしないのが目に見えてるだろ…!

それに、アイツは今夢を追いかけて頑張ってる。
だから、その重荷にだけはなりたくないんだよ」



要くんの口からこぼれ落ちる本音と同じようにあたしの瞳からもポロポロ、と涙がこぼれ落ち、頬を伝う。