【純恋side】



次の日の放課後。


ずっと、昨日の放課後からこれは夢なんじゃないかって淡い期待を抱いていたのに目が覚めても現状は変わらなくて、改めて現実なのだと思い知らされた。


学校から下校するその足で先生から聞いた話を確かめるためにわたしは要くんが入院しているという病院へと向かった。


ナースステーションで要くんの病室の番号を聞き、一人でトボトボと歩きながら病室に向かう。


もしかしたら、先生の冗談なんじゃないのかって…思ってた。


でも、それは違うかった。
要くんの体が病魔に蝕まれていることは事実だったといことがナースステーションで部屋番号を聞いた時に実感させられた。


これが先生が言っていた“現実”なのだと。



「お前…このこと純恋ちゃんに言わなくていいのかよ」


「…いいんだよ」



しばらく歩き進んで、もうすぐ要くんの病室だ…と思っていたわたしは自分の名前が出てきて、思わず足を止めた。


もうすぐで要くんの病室の扉を開けてしまうところだった。


病室の中から聞こえてきたのは要くんと坂田くんの深刻そうな声だった。


二人の声はいつになく真剣みを帯びた声で…


わたしはその場から動くことなんかできなくてそのまま突っ立って話に耳を傾けた。


盗み聞きとか良くないってそんなのはわかってるけど…気になるんだから仕方ない。



「なんでいいんだよ…!
本当は突き放したこと後悔してんだろ…!?
そばにいてやりたいんだろ!?」


「そんなこと純恋に言ってどうすんの?」



今度は要くんの落ち着いた声が耳に届く。
久しぶりに聞いた彼の声に不謹慎にもドクン、と心臓が高鳴った。