「どうして彼は…学校に来ないんですか?」


「ならなんで越智はそんなに須藤を気にするんだ?
優等生のお前と不良の須藤とは接点がないだろ」



確かに先生の言いたいことは分かる。
わたしたちは真逆だ。
でも、お互い傷を負っているのもクラスも一緒。


一つでも共通点があれば十分でしょ?



「須藤のことなんか気にせずに今は受験に…」


「それじゃあ意味が無いんです。
わたしは彼に…夢を叶える姿を見ていてほしいんです」



わたしに“夢”をくれた君に見ていてほしいんだ。
君じゃなきゃ意味がないの。


先生はわたしのまさかの反論に目を大きく見開いて驚いていた。
驚いて当然といえば当然だ。


今までは忠実な犬のように逆らいもしないで言うことを聞いていたのに今はこうして反論しているのだから。



「お前…変わったな。立派になったもんだ」



先生はそう柔らかく微笑むと「ついてこい」といい、わたしを空いている会議室へと連れてきた。


そして、向かい合って座る形になり目の前にいる先生のとても真剣な表情を見ているだけで緊張が襲ってきて生唾をゴクリと飲み込む。


しばらく、チクタクチクタクと針を進める時計の秒針の音だけが部屋に響く。


ふぅ、と一度息を吐いた先生がやっと重い口を開いた。