要くんに振られてから数週間が経ち、学校は冬休みに入り、家族とも出掛けられて楽しい冬休みだったのに頭の片隅にはいつも君がいて、ふとしたとき頭の中をチラつくんだ。



そして、今日から三学期が始まる。
数週間後には受験を控えているわたしにとってこの月はとても重要で大切な一ヶ月なのだ。


ちなみに要くんと出会ってからもう二ヶ月が経とうとしていた。
未だに学校には姿を見せない彼に再び女の子と遊んでいるという噂が学校中を飛び交っている状態だ。


真実を知りたい。
君がどうして学校へ来ないのか…担任の先生なら知っていたりするかな?


放課後、職員室に行って聞いてみようかな?
最終手段はもう先生に頼ることしかないと思う。


坂田くんにはいくら聞いても教えてくれないだろうし。



「以上でHRは終了。気をつけて帰れよ〜」



先生の呑気な声が聞こえたと同時にガタガタと椅子を引く音が教室中に響き、一気に騒がしくなる。


そんな中、わたしは先生を見失わないようにいつもよりも早く帰りと準備を済ませ、カバンを肩に掛けて教室を出た先生のあとを追う。



「あの…!先生!」


「ん?なんだ?越智」


「き、聞きたいことがありまして……お時間よろしいですか?」



なんて言われるのか怖い。
だけど、怖がっていても何も始まらない。


言葉に詰まりそうになりながらも何とか声に出す。


「聞きたいこと?」


「はい、須藤くんのことなんですけど…」



“須藤くん”
その名前を出した瞬間、先生の表情が曇ったように思えた。


だけど、先生はそれを表には出さないようにして「須藤がどうしたんだ?」と何でもないかのように返してきた。