「ごめんね…歩美ちゃん」



しばらくして泣き止むと言った。
授業もわたしのせいでサボらせてしまった。
大切な時期なのに…わたしってば何をしてるいるんだろう。



「いいんだってば。
授業よりも純恋ちゃんのほうが大事なんだもん」



にっ、と笑ってくれる彼女は本当にいい友達だ。
自分にこんなにも仲のいい友達ができるなんて思ってもなかった。


今は受験シーズンだからなかなか遊んだりできないけど、合格したらすぐに遊びに出掛けようという話をもう何度もした。



「…ありがと。振られちゃった。カッコ悪いよね」


「そうかな?カッコよかったよ。
ちゃんと自分の思いを伝えられるなんてすごいよ」



ちゃんと自分の思いを伝えられるか……それは要くんのおかげなんだよね。


わたしに勇気や自信をくれたから。
一ヶ月前の自分よりも成長することが出来た。



「…それも全部要くんのおかげなんだ」



わたしはぽつりと言葉をこぼして、そこから今まであったことを全て歩美ちゃんに話した。
彼女は相づちを打ちながら真剣に聞いてくれてそれだけでまた涙が出そうになった。



「そっか。
要もさ、きっと何かあるに違いないよ。
急にあんな態度なんておかしいもん」



「やっぱり、そうなのかな?」



ただ、単純にわたしのことが嫌いなだけじゃないのかな?



「そうだってば…!あんなに純恋ちゃんのこと愛おしそうに見てたんだから絶対遊びなわけないでしょ!

まあ、アイツも家のこととか色々と大変なんだと思うよ。だから、まだ諦めるのは早い!元気だして!」



明るく、まるで向日葵のようなその笑顔に少しだけ心が軽くなって救われたような気がした。


それからわたしたちはお互いの話などをして盛り上がり、教室へと戻った。


でもその教室に要くんの姿はなかった。