「……」



無言を貫き通す彼にわたしは言葉を発し続ける。



「学校来なかったから心配してたんだよ」


「…そんなのお前には関係ないだろ」



やっと口を開いたと思ったら、君の口から出たとは思えないほどの鋭利な刃物のような鋭い言葉。


驚いて言葉を失っていると彼の氷のように冷たい瞳と視線がぶつかり合う。



「関係あるよっ…!
だって、わたし…要くんのことが好きなんだもん…」



言ってしまった。
口にするはずのなかった思いを君に告げてしまった。


案の定、要くんは目を丸くして驚いていたけどすぐに表情を戻し、形のいい唇をゆっくりと開いた。



「俺とお前は遊びだったろ?
俺、お前みたいな陰気くせぇやつ嫌いだし」



一瞬、時が止まったように感じた。
彼の口から出た言葉が信じられなくて信じたくなくて…


気を許してしまえば、涙がこぼれ落ちてしまうから、スカートの裾をキュッと力強く握りしめて堪える。



「だから、もうお前と俺は終わり。
所詮、遊びなんだよ。じゃあな、優等生さん」



手のひらをヒラヒラと適当に振りながら屋上の扉へと向かって歩いていく要くんをわたしは止めることすらできなかった。


言葉を発しようとするのに喉の奥に何かが突っかかって全部せき止められてしまう。


苦しい…胸がとても苦しくて痛い。
息の仕方を忘れてしまいそうなほど、心臓がぎゅっと鷲掴みされているような感覚に陥ってその場に膝まづいた。


握りしめていたスカートの裾にはもうシワがたくさん寄ってしまって、クシャクシャだ。