「しかも、付けてるピアスは全部要の親父さんのやつで、お姉さんがお袋さんのやつをつけてるんだってさ」
だから、彼は耳元のピアスを触るたびに愛おしいそうな表情を浮かべながらも切なげな表情をしていたんだ。
ピアスに触れるたびに思い出していたんだろう。
たくさんの儚くも愛しい昔の思い出を。
そういえば、この前見たときに一つピアスがついてなくて尋ねると「失くした」と言っていたけど探さなくてよかったのかな?
なんて、今更になって思う。
「だから、アイツのピアスはただチャラくなりたいとかカッコつけたいとかそんな理由じゃなくてもっと、深い理由があったんだよ」
要くんのことを心の中で思い浮かべているのか切なげに力なく笑う坂田くん。
わたしは今にもこぼれ落ちそうな涙を制服からはみ出したクリーム色のセーターの裾でゴシゴシと拭く。
「要くんは……とっても優しいの。」
「えっ?」
突然、こんなこと言い出したわたしをきょとんとした表情で見つめる。
「たまに意地悪だけど、
誰よりも優しさがわかる人なの…」
「純恋ちゃん…」
「どうして要くんには
次から次に試練が襲いかかるのかな?」
こんなの不平等だ。
彼ばっかり、辛い目にあって…一人で抱え込んで。
要くんの心の傷はピアスの痛みなんかじゃ代わりにもならないほどなのに…。
もう、彼に幸せを恵んであげてもいいじゃない。
試練なんて与えないで…今も幸せと思わせてあげてよ。
なんなら、わたしの幸せを奪ってもいいから。
君のためなら…奪われたっていい。



