【純恋side】
十二月中旬に入り、本格的に寒くなってきた頃
わたしは坂田くんと一緒に朝早くに学校に来て教室に滞在していた。
その理由はたった一つだけ。
────…要くんが学校に来ていないから。
わたしと図書館に行った日から一週間ぐらいしてからピタリと学校に姿を現さなくなってしまったのだった。
少し前にもそんな噂があったみたいだし…あまりにも学校に来ないし連絡を入れてみても返信が無いし…だから、気になってついに坂田くんに聞いてしまったというわけ。
「ねぇ、坂田くん。
どうして要くんが学校に来ないのか知ってるんだよね?」
「……そうだね。知ってるよ。
でも、簡単には教えられないよ」
いつもの爽やかさなんて微塵もなくて真剣な表情でしっかりとわたしの瞳を捉える。
簡単には教えられないって…どういうこと?
「要のピアスの穴の意味知ってる?」
「え?」
耳に無数にあいたあのピアスの穴の意味?
そんなのあったの…?
モテたいからって本人は言っていたけど、別の意味があったの?
それなら、あのときの悲しげな表情にも納得がいく。