わたしがそう言い放つと、


彼はきょとん、とした顔でしばらくわたしを見つめてしまいにはクスクス、と笑い始めた。


なんで笑ってんの?
こっちは真剣なんですけど。



「大丈夫。俺もそんなつもりないから」



「じゃあ…」



「ただ、デートという名の息抜きだよ。

どうせ、勉強ばっかりしてんでしょ?」




うっ……図星すぎて何も言えない。
ほんとにこの人、わたしの心の中が見えているんじゃないかって思う。

なんなら、超能力者?……なんてね。


いつもは家に帰ると少女漫画とかを読んでいるけれど、親に見放されるのが怖くて受験に落ちてここ最近は彼の言う通りずっと勉強机に向かっていた。




「…ほら、図星。それに俺、もう言っちゃったし?

お前の心ん中、色とりどりにしてやるってさ」



優しく目を細めて言った彼にドキンッ、と心臓が大きく飛び跳ねる。


何ときめいちゃってんのさ、バカみたい。



「て、ことで決まりね。

放課後、帰らないで教室に残っとけよ」




ぽん、とわたしの頭の上に置かれた男らしくてゴツゴツした手にドキドキ、と胸の鼓動がうるさいほど音を立てて騒ぐ。