そんなことにドキドキしているのはわたしだけみたいで彼は何でもなさそうな顔をしているからわたしもできるだけなんでもないようなフリをする。



「なんか、三年間あっという間だったね。
あと一ヶ月もすれば、大学入試だし…」



毎日時が過ぎるのが遅く感じて、早く一日が終わってしまえばいい…そう思っていたのに今はずっと高校生でいたい、君のそばで笑っていたいとそう思う。


だけど、時は止まることを知らず、どんなに別れが辛かろうが進み続ける。



「そうだな。
もし、純恋が一発で受かんなかったら
純恋のおごりで飯でも食いに行くか?」


「え!ひどーい!割り勘にしようよ〜!」


「俺、焼肉がいい」


「ちょっと…!人の話聞いてないでしょ!」



君と過ごす時間はとくに早く感じてあっという間に過ぎてしまうんだよ。


名残惜しさをそっと胸の中に隠すように笑うのに君はそれにすぐ気づいてしまう。



「寂しそうな顔して…俺と離れるのそんなに寂しいの?」



綺麗な雪と君の太陽のような笑顔が重なり合ってわたしの視界いっぱいに映る。
それを見ているだけで心が明るくなって、鼓動が高鳴る。



「さ、寂しくなんてないよ」


「またそんなバレバレな嘘つく。
嘘つきは泥棒の始まりだぞ〜」


「いたっ…!」



おでこに小さな痛みを感じたと同時に要くんがハハッとお腹をかかえて笑っている。
さっき感じた痛みは要くんがわたしにデコピンをしたときのものだと分かった。