「…どうして?」
「え?」
「どうしてこんな素敵な絵を描いてくれるの?」
不意に口からこぼれ落ちた言葉を彼はしっかりと聞いていた。
せっかく描いてくれたのに気を悪くしちゃったかな?と心配したのもつかの間
「そんなの純恋が俺にとって大事な存在だからに決まってんだろ」
悩みもしないで当たり前かのように彼は絵の中のようにはにかんで言った。
その言葉にわたしの心臓は素直に反応して、体が沸騰したように熱くなる。
「だ、大事って…」
「少なくとも俺はそう思ってるよ。
純恋のことがすげえ大事だってな」
恋もしたことなかったわたしがこんなこというのはおかしいかもしれないけど、彼がモテるのも分かる。
最初は絶対こんなチャラい人は好きにならない、と思っていたのに今じゃ要くんなしの人生なんて考えられないほど、君色にわたしは染まっている。
「…わたしも要くんのこと大切だよ。
要くんがいたからわたしはここにいる」
もし、あの日要くんに出会ってなかったらわたしはきっと今も親のあやつり人形だったのだから。
あのときよりかは随分と成長できているんじゃないかなって思う。



