【完】幸せは透明度100%





「子供扱いしないで」



本を広げてノートに書き写し始め、怒ったようにそう言えば、彼は頭を撫でるのをやめて大人しくなった。


本当は怒ってなんてないよ。
でも、これはわたしのヤキモチってやつなんだよ。
器の小さい女の子でごめんね。


それから一時間ほど机と向き合って、チラッと隣の彼を盗み見れば、何故かシャーペンを握り夢中で紙に何かを書いていた。


不思議に思ったけど、特に気にとめないでノートに視線を移すと肩をトントンと軽く叩かれ、彼の方に視線を戻せばさっきまで夢中になって書いていた紙をわたしに見せてきた。


その紙に描かれていた絵にわたしは一瞬にして目を奪われて、少し前までリズムよく音を奏でて動いていた鼓動が一度ドクンと大きく高鳴った。


そこに書かれていたのは一人の女の子と男の子が花の咲く丘で満天の星の下で幸せそうに向かい合って手を繋ぎ、はにかみあっている姿だった。



「……えっ?」


「俺と純恋。いい感じに描けてるだろ?」



可愛らしいえくぼを作って無邪気な笑顔みせた君。


決して上手いとは言えないけれど、それ以上にわたしは要くんがまさかこんな絵を描いてくれるなんて思ってもなかったからジワジワと喜びがこみ上げてくる。