「なんか日に日に純恋が可愛くなってんだけど、なんで?」


「な、なんでって…そんなの知らないし、まず可愛くないし…」



そういう要くんだって日に日にかっこよくなっていくからわたしは君への好きが募っていくんだよ。


今だって、こんなにドキドキして顔から火が吹き出そうなのもわたしだけなんだろうな。



「嘘だ。なんかしてるだろ〜俺に内緒で」



おでこをツンツンとつついてくる彼の手が触れる度にわたしは体温が一度ずつ上がっていくようなそんな気になる。


要くんといるとドキドキで勉強なんて進まないよ…!



「し、してないから…!」


「純恋が結婚する頃には
お前は今よりもっと綺麗になってるんだろうな……」



急に声のトーンが下がって、また頬杖をついてどこか遠くを見据えながら力なく笑い要くんは言った。


ねぇ、今……何を考えているの?
わたしには要くんの考えていることが分からないよ。


どうしてそんなに急に辛そうな顔しているのに無理して笑うの?


そう思うのにどれも言葉にはならなくて今日も聞けないまま、わたしはなんでもないようなフリをして言葉を返す。



「そんなの要くんだって一緒だよ。
今よりも大人っぽくなって、女の子を虜にするの」



わたし、要くんの未来が想像できるよ。
黒いスーツを着て、奥さんに玄関で見送ってもらいながら会社に出勤するの。


想像の中の彼はとても幸せそうで…それはいい事なのに何故か胸が細い針で刺されたようにチクリと痛んだ。