「分かってるよ。
まあ、でもいつか俺とキスできてよかったって思える日がくるって」
…はぁ?
ほんと、この人には呆れた。
何がキスできてよかった、とそんなこと思う日なんて一生こないし。
でも、ニッと白い歯を覗かせて笑っている
彼を見ていたら、何故か許してしまえる。
得な性格をしてるな。
だから、みんなから好かれるんだろうな。
なんて、思っていたら…
「今日さ、」
「俺とデートしよっか」
なんて、言葉が耳に届いた。
驚きのあまり、一瞬自分の耳がおかしくなったのかと不安になった。
わたしの聞き間違いじゃなかったらデートに誘われたよね?
君はわたしとそういう関係になりたいわけ?
…突然キスもしてきたし…まあ、あれは事故だけど!
「わたし、君とそういう関係になるつもりないんだけど」
一瞬でも期待したわたしがバカだった。
須藤くんは学年一のチャラ男だよ?
そういう関係の女の子はたくさんいる。
ギャルっぽい女の子たちは飽きたから今度は真面目そうな子を狙ってるの?
ほんと、意味不明だ。
悪いけど、わたしはそんなに騙されやすいタイプじゃないよ。



