「…ありがとう…お母さん…ありがとう」
本当はもっと言いたいことはあるのにこれしか出てこなくて、その代わりに涙がたくさん私の頬を流れる。
「これも全部、あの金髪くんのおかげだな…」
そう、お兄ちゃんが優しく目を細めて呟いたのをわたしは聞き逃さなかった。
そして、ゆっくりとお母さんからお兄ちゃんへと視線を移せばお兄ちゃんは“しまった”とでもいうような表情を浮かべていた。
「どういうこと?」
「いやー…実はさっき金髪くんと会ってさ。
本音でぶつかり合わなきゃいつか後悔するって言われたんだ。
だから、本当なら見せずにゴミ箱行きだったあの小テストを見せたんだ」
「……要くんが?」
もしかして、心配してくれていたのかな?
要くんは本当に優しすぎるから逆に心配になるよ。
お兄ちゃんはがさっき言ってたゴミ箱行きのテストって……毎回いいテストしか見せてなかったってことなのかな?
きっと、本当の自分を隠すために……そうするしかなかったんだ。



