「そう…まあ、大変よね。
…で、なに?この点数は?」
明らかに怒ったような低い声に背筋がゾクッとなった。
まさか…点数が悪かったの?
そんなこと今までなかったのに。
「母さ…「ねぇ?どうしたの?体調でも悪いの?」
それがあまりに信じられないのかお兄ちゃんに詰め寄って問いただすお母さん。
そして、お母さんの視線の先にいるお兄ちゃんの瞳は切なげに揺れていた。
あ…この顔をわたしは知っている。
わたしが言いたいことを抑えようとしているときの表情に似ていたから。
お兄ちゃんはお兄ちゃんでプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも必死に頑張っていたんだ。
言いたいことを何一つ言えずに────…
こんなの家族っていうのかな?
お互いの言いたいことを言えずに本当の家族だと胸を張って言えるのだろうか?
要くんの家族はきっと本音でぶつかり合っていたからこそ、あんなに彼は優しさが分かる人なんだ。



