「そうか……夢…か」
お父さんはそういうと、黙り込んでしまった。
もしかしたらだけど要くんのご両親のことを思い出しているのかもしれない。
「彼は…あのご夫婦にどこか似ているんだ。
あの夢に人一倍想いがあるところや見た目は派手なのに真っ直ぐで心を奪われてしまうところが」
ほら、やっぱり。
お父さんにとって要くんのご両親は尊敬している存在に値するからそう思うのも仕方が無いことだ。
「…似てるも何も要くんはそのご夫婦の息子だよ」
わたしがそう言えば、お父さんは切れ長な瞳を少し大きく見開いて驚いていた。
“嘘だ”とでも言いたげな表情だけどそれは数秒後には“やはり、そうなのか”と納得している表情へと変わっていった。
「そうだったんだな。彼が…そうか。
でも純恋、夢を追い続けるということはそう簡単なことではないんだよ?」
「分かってるよ、楽じゃないことぐらい。
たくさん努力して苦労して掴むことが夢なんだよ」
いつの間にわたしはこんなことを言えるようになっていたんだろう。
少し前までのわたしなら絶対言えなかった言葉たちだった。
君と出会えたからわたしは少し成長できたのかな?



