【完】幸せは透明度100%








要くんに悪いと思いながらも家まで送ってもらい、家に帰ると、


休日だからなのかリビングで両親がテレビを観たり雑誌を見たりとそれぞれの時間を快適に過ごしていた。
お兄ちゃんはいなくて、どこかに出かけているみたい。


…大丈夫。わたしは強くなるんだから。


心の中で何度もそう唱えてグッと胸の前に握りしめた手を持ってきて覚悟を決め、言葉を発した。



「あの…!」



二つつの頭が一斉にわたしの方へと向き、三人と視線がぶつかり合う。
目が合っただけなのに緊張からドクンドクンと心拍数が上がっていく。



「け、結果が来たの…」



緊張で声を震わしながら一つ一つ言葉を紡いでいく。



「それで?どうだったの?」


「ダメだった」



言葉にすると再度、入賞できなかったことを思い知らされて重い気持ちになりがちだけどそんな気持ちを無理やりにでも前へと向かす。



「…そう。ならもう諦めなさい」



あっさりとそう言い放ったお母さんに視線を向けてグッと唇を噛み締めて、口を開いた。



「…嫌だ」



意外にもスッと口から出た反論の言葉。
そりゃあ、緊張していないといえば嘘になる。


だけど、不思議と今までずっと心の中にあったはずの“見放されてしまう”ということに対する恐怖心はなくて今ならなんでも言えそうな気までしてきた。


お母さんには悪い気もするけれど、わたしはこの道じゃなきゃ意味が無いんだよ。


やっと、見つけたわたしの進むべき道。
自分で初めて心の底からやってみたいと思ったことなんだ。