「俺も純恋と同じ気持ちを経験できたら…よかったのに」
ぽつり、と呟いた君の言葉にわたしはとくに気にも留めないで聞き流した。
今は人のことを考えている余裕すら、わたしには残っていなかったから。
「でもな、純恋。
失敗しても、挫けずに追い続けることが大切なんだ。
いいか?お前は誰になんと言われようとこの夢を大切にしろ。」
「もう無理なんだって…!!
わたしはまた真っ白な世界に戻るの、味方なんて誰もいなくなる」
「違う、純恋」
また、声を荒らげてしまったことをすぐに後悔する。
今は、『違う』と否定する要くんの言葉さえ憎く感じてしまう。
「違うくない…!」
取り乱すわたしを“離さない”とでもいうように強く強く、抱きしめる。



