「へえ。なら……」



「俺がお前に新しい世界を見せてやる」



え……、何を言ってるの?
彼の思いがけない言葉にわたしは自分の耳を疑った。


わたしの世界はもう色づけないほど、真っ白で、もう他の色になんて染められないんだよ。


例えるのなら、何年も使ってなくて染み込んでしまったシミのようなものだ。



「無理だよ」


「無理だなんて最初から決めつけてたら無理だろうな」



呆れたような、でも真剣みを帯びたその瞳に思わず吸い込まれそうになった。


なんでだろ…彼の言葉にはなんでこんなに不思議なぐらい説得力があるのかな?


別に特別な言葉や難しい言葉なんて一つも使っていない。



なのに……どうしてこんなに怖いくらいスッと心の中に入ってきて胸を熱くさせるんだろう。