恐る恐る封筒を開けて中身を取り出す。
中には白い紙が入っていて高鳴る鼓動を抑えながらそっと紙を広げる。
【この度はコンテストに参加していただきありがとうございました。結果が出ましたのでお知らせ致します。
越智純恋さま
今回は入賞とはいきませんでしたが、とても目を引く素敵な作品でした。
越智さまの更なる成長を応援しております。】
「……っ」
正直、どうしたらいいのか分からなかった。
作品を褒めてもらえていることに対してはすごく嬉しいけれど、肝心の入賞はできなかった。
ということはわたしの夢は…どうなってしまうの?
そう思うと、嬉しさよりも不安で胸がいっぱいになり大量の涙がわたしの頬を伝ってカーペットに落ちていく。
【どうだった?】
要くんからのメッセージに気づいたのは結果を見てから一時間ほど経った頃。
【会いたい】
気づけばこんなことを送っていた。
バカだよ…わたし。
こんなメッセージ送っても彼は会ってなんてくれないのに。
夢を叶えられないわたしのことなんて見捨てちゃうよ。
自暴自棄になるのにはもう十分だった。
世界の全てが憎くて……どうしようもなく辛かった。
ただ、この悲しみを少しでも和らげてくれる人に会いたくてあんなメッセージを送ってしまったんだ。
【分かった。あの丘で待ってる】
わたしの家からあの丘までは十分ほどで着く。
だから、君に早く会いたい一心でわたしは無我夢中で家を飛び出した。
………涙を流しながら。