【完】幸せは透明度100%





「俺にそんな説得力はねぇよ。
つーか、コンテストに出す作品描けたのか?」


「うん!バッチリね。朝にポストに入れてきた」



自信があるか?って聞かれたら答えはNOだけど
楽しんでできたか?って聞かれたらもちろん答えはYESだ。


テーマは“春”だった。
だから、わたしはワンピースを描いた。
春は“出会い”と“別れ”がある。


そして、花の種類も豊富な季節だと思っているからそんなことも頭に入れながら女の子らしい春っぽい洋服のデザインに仕上げた。



入賞しなきゃ、わたしの夢は終わってしまうのかな?


「そうか。あとは結果を待つのみだな。結果発表はいつだっけ?」


「締切が明後日だから、来週あたりだったと思うよ」


「んじゃあ、そんなお前に俺からプレゼントをやろう」


プレゼント?
要くんは嬉しそうに無邪気な笑顔でポケットから何かを取り出した。


そして、それをわたしの手のひらに乗せる。
自分の手のひらに置かれたモノをみてわたしは思わず頬が緩み、要くんを見た。



「お守り。
中は大学受かってからしか見ちゃいけねぇからな」



そう、彼はわたしに手作りのお守りをくれたのだ。
赤のフェルトで下地を作り、【合格】と白い糸で刺繍されている。



決して、綺麗だとはいえない見た目だけど
それよりも、彼がわたしのために作ってくれたというだけで嬉しくて心が満たされた。