「ねぇ、要くん」
そっと君の名前を呼ぶと「なに?」と耳のすぐそばから落ち着いた彼の声が聞こえてくる。
「もし、自分の人生を選び直せたらどうする?」
こんなこと聞くなんて自分でもバカだと思う。
彼の人生を選び直せるようにしてあげるような超能力をわたしが持っているわけでは無いのに。
でもね、尋ねたくなってみたんだ。
君がこの世界に“須藤要”として生まれたことを後悔していないのか。
いろんな苦労をしてきただろうし、それで本当によかったのか……気になったの。
ちなみにわたしはね……今は思うんだ。
“越智純恋”としてこの世に生まれてよかったと。
君に出会えたから、もし人生を選び直すことが可能になったとしてもわたしはまたこの人生を選択する。



