「……っ。やっぱ、お前は強いよ」
「え…?」
泣くのを我慢しているのか、何度も深呼吸をしながら話す彼。
泣いてもいいのに…辛いなら泣けばいい。
わたしが君の全部を受け入れるから君の悲しみが消えてなくなってしまえばいい。
照りつける太陽の下で君の体温を感じながら、君のことを知った十二月の二日前。
「…お前はもう立派なぐらい強くなった。
まあ、元から肝は座ってたしな」
ハハッとぎこちないながらも小さな笑みを浮かべて言った君を見てわたしは少しホッとして胸をなで下ろした。
「肝が座ってるって?どこが?」
「初対面なのに無言でめちゃくちゃ睨んできたことを俺は忘れられないよ」
「なっ…!そ、それは忘れてよ…!」
あれはいきなり要くんが声をかけてくるし、あのときは本当に自分の存在価値を見失っていたから余計に死んだような目をしていたんだと思う。



