そんな気はしてた…時折見せる切なげな表情をわたしは見落としてはいなかったから。



「まあ、座ろうぜ」



さっきとは違い気楽そうに言い、屋上のちょうど真ん中らへんに座った要くんの隣にちょこん、と座った。



「俺の親は二人とも俺が小二の時に死んだ」



はちみつ色の髪の毛を風に靡かせながら遠くを見つめている横顔は酷く切なげで、でも目を奪われてしまうほど綺麗で……そんな君の声は少し震えていた。



「それも事故や病気なんかじゃなくて事件に巻き込まれてな」


「えっ……」



思わず、驚きの声が漏れてしまった。
だってまさかテレビやニュースで流れてくるような“事件”に巻き込まれた人がこんなに間近にいることなんて思ってもなかったから。