「え?」
驚きで弾いたように彼の方に視線を移すと彼は恥ずかしそうにはにかんで言った。
「風邪引かれた困るからな」
「でも、それじゃあ要くんが……」
「俺は、こうしてれば寒くない」
そういって、わたしの手をギュッと握る。
それだけで体の体温が一気に上昇していく。
君がわたしの前からいなくならないようにギュッと強く握り返した。
傍から見ればまるで恋人同士に見えるようなわたしたちは無事に家まで着いて、扉を開けた。
そこからわたしの夢への戦いが始まる。
「た、ただいま」
「お邪魔します」
もちろんだけど、手は離されていてマフラーも要くんにちゃんと返した。
少し…いやかなり名残惜しかったけど。
「おかえ…り、純恋」
ちょうど二階から降りてきたお兄ちゃんが目を丸くて驚きながら言った。
そりゃあ、いきなりわたしとは真逆の金髪でピアスがたくさん空いている人を連れてきたらビックリするよね。
「こんばんは。須藤要といいます」
要くんは見た目とは真逆の真面目さでちゃんと礼儀もある。
ただ、見た目がチャラいから偏見の目で見られてしまうんだ。



