【完】幸せは透明度100%




……なんで?


おかしいよ、わたし。

はやく須藤くんの上から退ければいいのになんでしないの?

頭ではそう思ってるのに心と体はいうことを聞かず、動かないまま。



「なぁ……」



そんな彼の低音ボイスな声が耳に届いたと思ったら、須藤くんは頭を少し浮かせてわたしを引き寄せた。

そして、彼はわたしの唇に自分の薄い唇を静かに押し付けた。


一瞬、思考回路が止まった。


え……?


いま、何が起こったの…?




「わりぃ……ついキスしたくなった」



沈黙を破ったのは須藤くんの方。
その表情からは悪びれる様子もなさそう。


…ついキスしたくなった?


冗談じゃない。
わたしは初めてだったのに……



「あれ?もしかして初めてだった?」