……なんで?
おかしいよ、わたし。
はやく須藤くんの上から退ければいいのになんでしないの?
頭ではそう思ってるのに心と体はいうことを聞かず、動かないまま。
「なぁ……」
そんな彼の低音ボイスな声が耳に届いたと思ったら、須藤くんは頭を少し浮かせてわたしを引き寄せた。
そして、彼はわたしの唇に自分の薄い唇を静かに押し付けた。
一瞬、思考回路が止まった。
え……?
いま、何が起こったの…?
「わりぃ……ついキスしたくなった」
沈黙を破ったのは須藤くんの方。
その表情からは悪びれる様子もなさそう。
…ついキスしたくなった?
冗談じゃない。
わたしは初めてだったのに……
「あれ?もしかして初めてだった?」



