「楽しそうだな」
不意に後ろから声がした。
振り返らなくても分かる、この低くて耳障りのいい声といえば……
「あ、要くん。
みんなリフレッシュしてるみたいで楽しそう」
みんなだんだんと離れていっていつの間にかわたしたちの周りには人がいなくなっていた。
浜辺の隅っこで二人。
聞こえるのはザーザーと波音を立てる海。
今は暗くて色なんてわからないけど、きっと日中は空の色のように青く透き通っているのだろう。
「俺が楽しそうって言ったのはお前に対してだし」
「えっ…?そうだったの…!?
あ、えっと、あの…わたしは楽しいよ!」
「見てたら分かるって…ハハッ!」
わたしのあまりのテンパり具合に彼はケラケラとお腹を抱えて笑い出す。
わたしは恥ずかしくて何も言えず、黙っているとカシャとシャッター音が鳴りビックリして要くんの方を見る。



