「その花、今のお前にそっくりだろ?」
後ろからカサカサッと草が踏まれる音がして、要くんが近づいてくるのがわかる。
そして、わたしの手に自分の手を重ねた。
「……わたしに?」
「そう。お前に。
この花の場合は周りはみんなコスモスで一輪だけ時期も違うのに咲いてる。
お前の場合は周りはみんなエリートばっかで、でも自分のなりたいものは違う」
言われてみれば、似ているかもしれない。
わたしの名前も…スミレだから。
「この花は一輪だけでも周りに負けないように必死に踏ん張って咲いてる。
でも、今のお前はその周りのいうことに流されて、花で例えれば自ら枯れようとしてる」
何も……言えなかった。
だって、全部その通りだもの。
わたしは叶えたい夢があるのに周りの反対で簡単に諦めようとしてた。



