しばらくして中学校での生活に慣れてきた頃。
何人か話せる友だちが出来たんだけど、その中でも特に仲良くなれたのが、吉澤由那(よしざわ ゆな)ちゃん。
由那ちゃんは部活が同じで、席も近くて、自然と一緒にいることが増えた。
由那ちゃんはなんというか、よく言えば天然、悪く言えば馬鹿。
しかも自覚症状がないみたいで、天然ネタでいじられても「あたし天然じゃないのに…」って口を尖らせる。
そんな由那ちゃんも女の子なわけで、ある日の昼休み。
「未来ちゃんさ…好きな人いる?」
「…へ?いないけど」
まさか…
「由那ちゃんはいるの?」
私がそう言うと、由那ちゃんはわかりやすく顔を真っ赤にしてこくんとうなづいた。
「えー!誰!誰!?
うちのクラス!?」
「ちょ、しー!
えっとまあ…うちのクラスの…」
由那ちゃんは一瞬ためらったけれど、すぐに
「…か、海くん…」
「っきゃあー!」
「だ、誰にも言わないでよ!?」
「言わない言わない!
そっかあー、へえー、海くんかあー!」
普段別に恋バナが好きなわけじゃないんだけど、人の話を聞くと興奮してしまう。
菅原海(すがわら かい)くんは、うちのクラスのスポーツ系男子。
顔も悪くないし、あんまり女子とは話さないけど話すと優しい。
何より、海くんはサッカー部に入っていて、1年生で1番うまいと言われてる。
体育なんかでもその運動神経の良さを発揮していて、おそらく彼に好意を持っているのは由那ちゃんだけではない。
