どうしても好きなの

「翔平くん、ありがとう…
家まで送ってもらっちゃって」


「おう、また明日な」


「また…明日…っ」


「え?」



堪えきれなくなった涙が頬を伝った。



滲む視界の中でわけがわからないという顔の翔平くんが見えたけど、これ以上翔平くんを見ていられなくて家の中へ入ってしまった。


そのままただいまも言わずに自分の部屋へ駆け込むと、1人になった瞬間ぶわっと涙が溢れてきた。



ああもう…



辛いよ、苦しいよ…




花梨ちゃんに向けられた笑顔は


私が大好きな笑顔で


翔平くんが幸せなんだから


私も幸せなはずでしょ?



なのになんで



「なんで涙なんか出てくるのぉ…っ」



もしかしたらいつか

翔平くんが私を視界に写してくれて

私の想いが伝わって

翔平くんの優しさが私だけに向けられる日が来るかもしれないなんて


そんな希望、持つだけ無駄だったんだ


翔平くんの中にはいつだって花梨ちゃんしかいなくて


その心が私に向くことは絶対ない



今日だって、1人で帰るのが嫌で知り合いがいたら誰でも良かったんだ。


翔平くんは優しいから、家まで送ってくれたんだ。


クラス別授業でも、有野くんがすごく嫌いで出来るだけ離れたかっただけなんだ。



全部全部、私に対して特別な感情なんてない。




あの笑顔も



あの優しさも



好きっていう気持ちも






全部全部、花梨ちゃんへ向けられたものなんだ…




「あきらめなきゃ…っダメなんだ…」



もうやめなきゃ。


この気持ちとさよならしなきゃ。


心から、翔平くんの幸せを願える人になるために______