『私、留学するの。』

その時菜穂は初めて誰かに言ったらしい。

親友の私より先に聞かれるとは…!

クゥ~!悔しい!

まぁそれは置いておいて…。


留学なんて、思ってもなかったから、3人とも口をあんぐり開けてびっくりしていた。

その時思っていたことは、多分3人とも同じだろう。

本当は嫌だ。好きな人がすごく遠くへ行ってしまう。

それほど嫌なことはない。

沈黙。

でも、その沈黙を破ったのは勝喜君だった。

【留学ならしょうがないよ。元気にしてろよ?】

涙を隠した、前向きな言葉。

2人もそれに乗って、

「いつかは帰ってきてね。」

【俺のこと、忘れないでね。】

この日のことは菜穂を含め、4人とも、一生忘れられない日になっただろう。