懐恋。

「は?ここって何?生徒!?」

「おう。ダメか?」

鳩が豆鉄砲食ったような顔をしてる進藤ちゃんにゲラゲラ笑ってると、ケツに綺麗な蹴りが飛んできた。

「いってー。さすが体育教師。」

「まあいいんじゃねーの?恋愛に年は関係ないぞ。」

「お、さすが進藤ちゃん分かってるねー。」

「でも他の教師や生徒にばれねーように気をつけろよ。」

「おう、フォロー頼むな。」

「で、名前は?」

「一条明音。」

「誰だ?何組?」

「B組。お前も受け持ってるだろ。」

「んー、さっぱりわかんねーな。」

「お前見る目ないな。」

「いってー。怠け者数学教師のくせに。」

俺がさっきのお返しとばかりに蹴ったらこの言われようだ。体育教師は体力だけで、言葉遣いが悪い。

「ってことは昨日その生徒と出かけたわけ?」

「そうだけど?」

「ちゃっかりしてんなー。けど本当気をつけろ。田原免許持ってないだろ?って事は電車かチャリ移動って事は生徒達に見られる率が余計に高いって事だろ?」

思った以上に心配してくれる進藤ちゃんは口は悪いけど本当にいい奴なんだ。

「そっか。じゃあ今度デートするならどうすればいいか一緒に考えよ。」

「は?俺も一緒に?やだね。職員室戻るー。」

そう言って屋上を後にする進藤ちゃんを追いかけた。