懐恋。

「あ、進藤ちゃんだ。」

「ん?なんだ田原サボり?」

「進藤ちゃんもでしょーが。」

5時間目の授業が何もなかった俺が、屋上にやってきたら進藤ちゃんこと体育教師の進藤明仁(しんどうあきひろ)も同じことを思ってか屋上に居た。この先生とは年も近いしウマが合うのかたまに週末飲みに行く中で、結構気も合って一緒に居て楽な人物だ。

「進藤ちゃん最近どう?」

「彼女?変わりなし。」

「ふーん。」

「おい、聞いといてその反応かよ。」

煙草をふかしながら学生時代から付き合ってるていう彼女の事を聞いたら、一言で返してくんだもん。つまんねーの。

「そっちは?女出来た?」

だるそうに煙を吐き出しながらついでにといった感じで、聞いてくる進藤ちゃんは自分は彼女居る余裕からなのか、はたまたただの好奇心か。

「いねーけど、昨日デートした。」

「なに?気になる子でもできたわけ?」

「おう、居るぞ。すっげー可愛いの。」

「どんな奴?」

「んー、普段ボーっとしてるけど表情はコロコロ変わって、照れ屋で泣き虫で。手ちっちゃくて、体も軽くて、髪の毛サラサラで、いい匂いすんの。」

「ちょっと詳しすぎて気持ちわりー。どこで知り合ったの?」

「あ?うるせーな。ここだよ。」