懐恋。

!?ん!?!!?…ビックリし過ぎて涙が引っ込んだ。先生が駆け寄ってきて、優しく声を掛けられて、さっきまで怖かったのが優しい声を出すから、余計に涙が溢れてきて、拭っても拭っても止まらなくて…と思ったら先生の温もりに包まれた。

「んお!?先生?」

「んはは、んお、って言う人初めて出会った。」

「あの…どうしたんですか…?」

「明音が泣いてるから。」

「それで…どうして?」

「明音が泣いてるから。」

先生はさっきから同じことばっか言うの。私が泣いてるからって背中をポンポンされて、まるで小さい子をあやすような優しい温もりが伝わってくる。

「先生…」

「ん?どうした?」

甘ったるい声が頭上から降り掛かってくる。

「もう、大丈夫です。」

「んー。もうちょっとこのままで居させて。明音、ごめんな?俺が泣かしちゃったよな。大人気なくてごめん。」

「先生はどうして怒ってたのですか?」

もうちょっとこのままという先生に私の体を預けて、気になった事を聞いてみる。

「言わなきゃダメ?恥ずかしーんだけど。」

「私が悪かったならちゃんとそのことについて謝りたいです…」

「んー…電車の中で明音がボーッとしてたから。俺と居るのに違うことを考えていたから。」