華が馨れば

涼香は、屋上の柵の前で立ち往生していた紫苑の肩をバンッと突き飛ばした。

「ひゃ!」

紫苑の身体はガクンと傾いて、硬い石畳へと落ちて行く。

ドンッ!

「ゔ…………が………」

涼香は、屋上から落ちた紫苑を見下ろし、すぐに自分の手で顔を覆い、泣き出した。

私は、人殺しだ…………と。