華が馨れば

「これ………」

涼香は、それを指さして、悲しそうに言う。

「あのね、この箱にはキーがついていて、暗証番号はね、こうよ。」

「7、0、3。」

「え?」

「分かるよね?涼香。これは、あなたの誕生日よね?」

「そ、そうよ。」

「分かる?紫苑はね、いっぱいいっぱいだったの。決して、あなたを故意に裏切った訳ではないわ。」