華が馨れば

所はある町外れの中学校。

まだ空が青くなる前。
とても早い時刻に、屋上に人影が現れた。

幽霊や、物怪ではない。
本物の人間だ。

その人影は、まだ幼い面影を顔に残した少女だった。

キョロキョロと辺りを見渡してみた。

ー誰も、いない。

それもそのはず。
この時間帯は、部活動の朝練がある人も、先生さえいないのだ。