「座らないのか?
ここなら空いているぞ?」
思わない藤沢先生から誘われた。
「は、はい。ありがとうございます」
緊張しながらも恐る恐る座ることにした。
断れないし……。
向かい側に座るとゴソゴソと
お弁当を出した。
今日は、引っ越しで疲れたから
手抜きして簡単な物を詰め込んだ。
蓋を開けたら藤沢先生が
「あれ?君は、お弁当なのか……。
それ、自分で作ったのか?」
私の弁当箱を見ながら聞いてきた。
えっ?
まさか、そんなことを聞いてくるとは、
思わなかったら驚いた。
「は、はい。母も働いているので
作れる時にお弁当やご飯を作っています!」
この方が経済的なのよね。
売店や病院で頼む弁当代って
馬鹿にならないから。
「そうか……俺は、普段
市販の弁当を頼むから
お弁当とか作らないな。
美味しそうだな……手作りお弁当も」
ボソッと呟いてくる藤沢先生。
美味しそう!?
簡単な物しか作ってこなかったけど
もしかして羨ましいのかしら?
失礼ながらそう思った。
それなら……。
「良かったら先生の分も作りましょうか?
時間を教えてくれたら合わせますし」



