しかし、最悪な状態で知られることに
なってしまった。

その夜に夜勤の担当ではなかったため
藤沢先生が早めに帰って来た。

すると自分の部屋に入ろうとした先生が

「百花。佐伯先生と付き合うことに
なったんだってな?」

私に向かってそう言ってきた。

えっ!?

「何故……それを?」

よりにもよって
一番知られたくない人に知られてしまった。

「看護師達が噂をしているのを聞いてしまった。
良かったではないか。
佐伯先生は、評判のいい医師だ!
お前を大切にしてくれるのではないか?」

それだけ言うとさっさと部屋に入ってしまった。

胸がズキッと痛んだ。

な、何で……?

そんなことを言うの……?

確かに佐伯先生は、評判のいい医師だけど
それと好きな人は、違うことだ。

私は、ショックだった。

でも、このまま誤解されたくない。

私は、慌てて先生の部屋を開ける。

「失礼します。先生……誤解です!!
確かに佐伯先生に告白されましたが
私は、まだ返事すらしていません」

必死に真実を伝えた。

藤沢先生は、一瞬驚いていたが
すぐに暗い表情に戻ると

「そうか。だが……告白はされたんだろ?
なら、良かったではないか。
君には、佐伯先生みたいな人の方が似合っている」

悲しくなるような言葉で言ってきた。