ちなみに病院では、
ややこしくなるから三宅のまま通している。

私と先生が義理の兄妹だということも
隠しているから……。

「そうですね……ならどうしましょうか?」

「うーん、そうだな。
百花と呼んでもいいか?」

えぇっ!?

まさか名前を呼ばれるなんて思わなかったから
心臓ががさらにドキドキと高鳴る。

「ダメか……?」

描いていた手を止めて聞いてきた。

「ど、どうぞ」

「そうか……じゃあ
遠慮なく百花と呼ばしてもらう」

少し照れたように笑う先生。

私は、先生の……その少し照れたように笑う顔が
好きだった。

胸がキュンとなって嬉しくなった。
これが好きってことなのだろう。

次の日にそのことを更衣室に着替えながら
由恵に話した。

「あらあら、やっと自覚したか」

少し呆れたように言われた。

「うぅっ……恥ずかしい。
私……まさか、いつの間にか好きに
なっていたなんて」

「自覚しただけ進歩よ。しかし
あんたもやるわよねぇ~自分から
絵のモデルになりたいと申し出たと思ったら
一気に距離を縮めるだなんて」