「だって、そうすれば
先生……絵を描いてくれるから
だから私……」
こっちも必死なのだ。
もう1枚脱ごうとしたら藤沢先生が私を
ギュッと抱き締めてきた。
ドキッと心臓が大きく高鳴った。
「やめろ。もう分かったから……」
「じゃあ、絵を描いてくれますか?」
そう言うと私をギュッと抱き締めたまま
ため息を吐いてきた。
「あぁ、分かったから。
お前に……負けたよ。まったく……」
呆れた表情をされたが、
先生の温かいぬくもりに嬉しくなる。
私は、笑みをこぼした。
それから藤沢先生は、私をモデルにして
絵を描いてくれるようになった。
と言っても先生が当直がない日だけだけど
2人だけの秘密の時間だ。
黙ってジッとしているのは、かなり
大変だけど……この雰囲気は、嫌いではない。
むしろドキドキしていて胸がいっぱいだ。
「そういえば、もう三宅ではないし
この家だと三宅って呼べないな」
「えっ?」
先生の言った言葉に驚いた。
確かに私は、
三宅から藤沢になったけど……。