まさか、そんな噂が立つなんて……。

藤沢先生の耳に入らないといいんだけど
心配になりながら
自分のお弁当を食べ始めた。

チラッと先生を見た。

背中越しからも分かるぐらいに
藤沢先生は、姿勢がいい。

タブレットでカルテらしき物を見ていた。
真っ直ぐに伸びていて食べ方も綺麗。

そういえば、院長……ではなかった。
お義父さんも食べ方が綺麗だわ。

きっと、きちんと躾られたからだろう。

私は、気になりチラチラと先生のこと
ばかり見ていた。

すると、その時だった。

「ちょっと、百花。
藤沢先生ばかり見すぎよ!?」

由恵が声をかけてきた。

「由恵!?由恵も今からお昼?」

「そう。やっとお昼が食べれるわ。
あ~疲れた……」

愚痴を溢しながら隣に座った。

「お疲れ様」

フフッと笑いながら一緒にお昼を食べることに。
ちなみに由恵は、いつも売店で買ってくる。

「ねぇ、それよりもあれから
どうなのよ?
藤沢先生と何か進展があったの?」

えっ!?

由恵の言葉に動揺する。
進展なんかある訳がない。

むしろ微妙な雰囲気のままだ。

「そんな訳がないじゃない!?
会話すら、まだ上手く続けられないのに」